今日は会津に古くから伝わる民話を
みんなに教えんべな
聞いたごどあっかもしんにな
『足長手長』っていう話しだ
ゆっくりお茶でも飲みながら
聞いてくんつぇない
むか~し むかし
会津盆地に どこからともなく
恐ろしい怪物が表れだど
その怪物は 足長手長という
夫婦の怪物だったど
夫の足長はとっても足が長くて
どんなに遠くても足を伸ばせば届いたんだど
妻の手長はとっても手が長くて
どんな遠いところの物でも座ったままで
ひょいと掴む事ができたんだど
二人は、なぜか会津が気に入っちまって
居座っていたんだど
ある日二人はいたずらをしかけた
足長は長い足をどんどん伸ばして
あちこちの雲をつかんでは
会津盆地の上に集めて
田んぼや畑にお日様が差さないようにして
手長は長い手で猪苗代湖の水をすくって
ばらまき 大粒の雨を
会津盆地にふらせたんだど
会津の村人たちはほとほと困った
『作物が全然育たねぇ』
『これでは飢え死にするしかねぇ』
『何とかならねーもんかのぉ…』
そんなある日、ボロボロの衣をまとった
弘法大師というお坊さんがやってきた
荒れ果てた村の様子を見て
村人たちからの話しを聞き
『よし その魔物をこらしめてやろう!』
と磐梯山の頂上に上ったど
そして足長手長に
『お前らはどんな事も出来ると思っとるだろうが
出来ない事もあるぞ!』
『何ぃ!わしらに出来ぬ事などないわ!』
『ならばこのつぼに入れるか?』
と、弘法大師は小さなつぼを見せたんだど
『わっはっは!そんな事たやすい事じゃ!』
足長手長はみるみる小さくなって
つぼの中に入っていったんじゃ
すると弘法大師はつぼのふたを
ギュッと閉めたんだど
『こら!ここから出せ!』
『駄目だ!人々を苦しめたばつとして
お前らはずっとつぼの中におれ!』
弘法大師はつぼを磐梯山の頂上に埋め
上に大きな石をおいて二度と
出れないようにしたんだど
それから足長手長は
会津の村人たちの守り神として
祭られたということだったとさ
おしまい
じゃ また機会あったらない