あの放浪の俳人が
会津に足を踏み入れた
10月も半ばに近づこうというのに
まだまだ夏の名残か
暑さに喘ぐ日が続いていた
俳人の名は つるかん
つるかんは筆を取り 短冊にしたためた
『行く夏の 名残を残す 扇風機』
『来る秋を 今か今かと 待つコタツ』
さすが つるかん!
季語にその物ずばりを当てはめるとは
一見小学生のようなこの俳句の
奥の奥に潜むわびさびに
気付く者は誰もいなかった
つるかんは最後に短歌をしたため
会津を去っていった
つるかんが会津を訪れたことを
知るものは
誰もいなかったという…
『小田山の もみじの中に見るお城
涙の歴史に想いたたずむ…』